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正しい決断を下すには?「決断力」の実践ポイント

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正しい決断を下すには?「決断力」の実践ポイント

正しい決断を下すには?「決断力」の実践ポイント

日々繰り返される意思決定。ビジネスマンに求められているのは、単なる決定力ではなく、強い意思に支えられた決断力です。なぜなら、ビジネスでは利益を上げる必要があり、そのためには一定のリスクをとる必要があるからです。リスクをとるということは、大海を進む船の舵を特定の方向に向かって切るようなもの。その先にあるのは、もしかしたら氷山かもしれません。そのリスクも承知した上で行う意思決定が決断です。今回はリーダーに欠かせない素養のひとつ、「決断力」の実践ポイントをご紹介します。

「決定」と「決断」の違いを理解しておこう

【引用元:写真AC】
【引用元:写真AC】

決断力のポイントを明らかにする前に、まず「決断」と「決定」とでは2つの点で違いがあるということを理解しておきましょう。
辞書をひもとくと、言葉の意味に次のような違いがあることがわかります。
決定=はっきり決めること。
決断=きっぱり決めること。
「同じではないか!」と思うかもしれませんが、両者の間には大きな違いがあります。
複数の情報や選択肢を吟味して、ある結論の方向性を定めるという点では決定も決断も同じです。しかし決定には、複数の答えを採用する場合も含まれています。「わが社の事業戦略としては第一にAプランを採用する。しかし状況次第では次善の策としてBプランもありうる」そういう意思決定の場面は珍しくありません。
他方、決断は、「きっぱり」という意味にもあらわれているとおり、複数の答えを採用するのではなく、一つの答えにしぼり、それ以外の答えは排除するという強い意志の表れなのです。これが1つ目の違いです。
2つ目の違いは、意思決定する当事者の違いです。決定は、複数の当事者が関与する場合も含まれます。グループでプロジェクトの方向性を決めなければいけないとき、合議によって答えを導き出し、グループの総意として意思決定する。こういった事例も決定という言葉には含まれます。
他方、決断は、複数の当事者というよりは、単独あるいはごく限られた当事者(グループリーダー・管理職・経営者など)がその判断により行う意思決定というニュアンスが濃厚な言葉なのです。

決断に必要なのは正解ではなく最善解

【引用元:写真AC】
【引用元:写真AC】

「自然科学には常に正解がある」というのはよくある誤解のひとつです。たとえば「重いガンを手術するかどうか」というような医療現場でよくあるケースで考えてみましょう。
外科手術ですぐに腫瘍をすべて取り除くべきか、それとも抗がん剤や放射線で腫瘍を小さくしてから手術すべきか。この判断はきわめて微妙です。そこに正解はなく、あるのは運だけと言ってもよいほどです。主治医の決断の結果、もし手術ですべての腫瘍を取りきることができたなら、患者の家族からはきっとこんな感想が語られるでしょう。「ガン細胞が転移する前に手術できて良かった。運が良かったね!」
しかし、もし腫瘍を取りきることができなければ、「すでに転移があったのだから仕方ないわ。それはお腹を開けてみなければわからなかった。運がなかったのよ。」となるわけです。
もちろんビジネスは自然科学ではありませんが、だからこそ、いっそう正解を見出すことの困難な世界だといえます。日々刻々と変動を続ける市場を前に、「この問題を解決するための正解とは?」などと逡巡していたら、いつまでたっても答えは出せないでしょう。いや、たとえ正解を出せたとしても、次の日にはさまざまな条件が変化して、正解として出した決断が不正解になってしまう場合もよくあることです。
現状与えられている限られた情報や選択肢のなかで、最善と思うたった一つの答えに絞り、結論をくだす。これがビジネスにおける決断であり、それを導き出すものが決断力です。「正解を求めず、最善解を見つけ出す力」は、スピードが求められるビジネスシーンにおいては、もっとも重要な決断力だといえます。
決断の結果、損失を出してしまったらどうするか?決断の是非そのものは非難の対象にはなりません。なぜなら、正解を選ぼうとして不正解を選んだわけではなく、限られた条件で最善解を選んだにすぎないからです。
もちろん膨大な損失が出てしまったような場合では、経営者などしかるべき人が責任を取ることになりますが、それは会社というシステムに組み込まれた意思決定のプロセスの一環であり、決断した当事者をバッシングしているわけではないのです。
限られた条件から最善解を選択し、決断し、生じた結果に対して誰かが責任を取る。ビジネスとはこの意思決定の繰り返しによって成り立っているのだといえるでしょう。

論理で押し切ることを決断と呼んではいけない

【引用元:写真AC】
【引用元:写真AC】

ロジカルシンキングが流行っています。ロジカルシンキングはコンサルタントにとって必須のツールです。なぜなら、顧客に自分の意図を明確に説明する際には、プランを説明する時ばかりでなく、策定する段階から明快なロジックに裏づけられている必要があるからです。
経営戦略や競争戦略を立案するとき、膨大な情報を分析して導き出された羅針盤の針の先にリスクが存在する場合、カウンセラーやコンサルタントは、どうやって顧客を納得させるのでしょうか。それは論理の力です。「こういう理由があってこの針はこの方角を指しているのです」という納得できる説明は、ロジカルシンキングによって裏付けられている必要があります。
「一定のリスクはあるが、それを踏まえたうえでもこのプランを採用したい。なぜなら、ロジカルに考えたとき、最終的にはこのプランに到達せざるをえないからだ」こういった決断を、経営者は日々大量に行っています。右に左にふらふらと迷っている暇はありません。スピーディーな決断は、論理によって導かれるのです。
しかし、矛盾するようですが、論理だけに支えられた意思決定は、実はもろいというのも事実です。なぜなら、ビジネスは数字や理屈だけでは読み解けない不確定要素があるからです。人間の感情のもつれ。自然災害のように突然ふりかかる予測不可能なアクシデント。偏った行政の判断。圧力団体の存在。SNSに拡散してしまった不本意な悪評……。さまざまな不確定要素があるために、どうもビジネスが思うようにうまくいかない。そんなとき、決断した答えを解体してみると、「論理だけしか残らなかった」ということがよくあります。
また、論理だけに支えられた決断は、結果がうまくいかなかったとき、利害関係者に納得いく説明をすることができません。決断者の口から出てくるのは、「おかしいなあ、この理屈からはこんなことにはならないはずなのに」という言い訳や、「結局ビジネスは論理だけでは計れないのだから仕方ないよね」という悪い意味でのあきらめ。これでは社員や顧客を納得させることは到底できません。
要するに決断力には、論理では説明できない要素を敏感に感じ取る力も求められているということなのです。

決断が独断にならないために必要なこと

【引用元:写真AC】
【引用元:写真AC】

冒頭の見出しで、決定と決断の違いを述べました。そのなかで、決断はごく限られた当事者が行う意思決定である、と説明しました。
しかし、ここでも注意すべきことがあります。それは、決断は「独断」とは違う、ということです。意思決定するために必要な情報や条件を、意思決定する当事者自身が、自らの視点や価値観に依存して収集し、その偏った情報に基づいて偏った意思決定に走ってしまう。これが独断の正体です。
たしかに、ごく限られた当事者が意思決定する行動である点では、決断も独断も大差はありません。しかし、意思決定には情報や条件が欠かせないということを思い出してください。
ビジネスにおける意思決定では、プラスとマイナスの両面からあらゆる情報が収集され、意思決定者のもとに届けられます。その情報には一定のバイアスがかかっています。それは「自社に利益(や損失)をもたらすか?」というバイアスです。このバイアスのかかっていない情報は排除されます。そうでなければ、情報が多すぎて意思決定に混乱を招いてしまうからです。
意思決定する当事者、たとえば経営者が、情報収集にも秀でているかといえば必ずしもそうではありません。情報収集には能力と相応の時間が必要です。経営者が情報を収集するだけでは本来集められるべき情報を見逃す可能性が高まります。また、そもそも経営者には情報収集に費やす時間は与えられていません。
(1)意思決定する当事者ではない、情報収集の力と時間を与えられた者が、しかるべきバイアスによってふるいにかけられた情報を過不足なく集める。
(2)集められた情報をもとに、ごく限られた意思決定者が答えを導き出す。
これがビジネスにおける決断のプロセスです。(1)のプロセスに多くの当事者が協力すればするほど、独断を防ぐことができます。
大人と子供を区別する明確な違いは「自己の行動に責任を取る」ということです。ビジネスマンはもちろん大人ですから、自分の行動に責任を持たなければなりません。
決断の対象が会社の方向性にかかわるようなテーマであれば、その結果の責任を負うのは経営者です。しかし、現場で日々繰り返される小さな意思決定であれば、管理職やグループリーダーも責任を取らされる場合があります。
できることなら、責任なんて負いたくないものです。正しい決断の実践のためにも、ご紹介したポイントをぜひ参考にしてみてください。

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