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管理職の退職を慰留(引き止める)するには

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管理職の退職を慰留(引き止める)するには

管理職の退職を慰留(引き止める)するには

最近よく耳にするのが、「新入社員が、勤務開始から3日も経たないうちにやめてしまった」というちょっと信じがたいニュースです。五月病という言葉もあるように、春という季節には、人の判断を狂わせる気候のゆらぎでもあるのでしょうか?しかし今回取り上げるのは「管理職の退職」についてです。長年一つの会社に勤めてきた管理職がやめるということは相当の理由があるはず。もちろん会社側にとっても大きな損失です。できるなら管理職の退職を引き止めたいもの。管理職の退職を慰留するコツをまとめてみました。

慰留する前に~その管理職は必要な人物か

【引用元:写真AC】
【引用元:写真AC】

会社にとって社員は財産です。「ヒト・モノ・カネ」の3つが会社を動かす原動力ですが、なかでも「ヒト」の重要性は抜きん出ています。モノやカネがどれだけ潤沢にあっても、ヒトがいなければ会社を動かすことはできないからです。
管理職にまでなった社員ですから、その会社に相応の愛着を持って長年勤め上げてきたことが推測されます。「君に管理職を任せたい!」と打診されたとき、その社員の心には「今までがんばってきた甲斐があった」という充実感が湧いてきたはず。他方で会社側も、その社員がとても優秀であり、部下を任せても安心だと考えたからこそ管理職に重用したわけです。つまり、会社とその管理職は持ちつ持たれつ、相思相愛の関係だったはずです。
それがなぜ、「この会社にいてもしょうがない。会社を辞めたい」と考えるまでになったのか。その原因を会社側は丁寧に調べる必要があります。
原因が会社側の努力だけで解消できるのであれば善処すべきです。しかし、会社側の努力だけでは解消できない場合、残念ですが、経営者は次の問いについて答えを出さなければなりません。
「この社員は、わが社にとって必要な人物か?」
必要であるとの結論が出たのであれば、なお慰留の努力を続ける必要があります。しかし、必要でないとの結論が出たのであれば、慰留にかける時間や労力、そして情熱は無駄以外のなにものでもありません。
無駄な引き止め工作を省くためにも、退職を申し出てきた管理職が現れたら、むやみやたらに引き止めるのではなく、まずその人物が引き止めに値する人物かをよく考えましょう。

退職理由が「待遇や労働条件への不満」である場合

【引用元:写真AC】
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管理職が退職を切り出した理由が給与などの待遇面だった場合、会社側はどのように慰留すればよいのでしょうか。たとえば、退職の理由を本人に問いただしたところ、「もうこれ以上、名ばかり管理職をつとめることはできません!」という答えが返ってきたような場合です。
名ばかり管理職は最近の問題ではなく、昔からあった問題です。管理職という地位を与えることで本人の名誉心をくすぐり、他方で過重な労働に対価をはらわずに押し付ける……そんな理不尽な処遇が名ばかり管理職です。
あなたの会社がブラック企業でもないかぎり、名ばかり管理職は本来あってはならない事態です。残業をしているのに、さまざまな屁理屈や圧力を楯に残業代を支払わない。これはもちろん違法です。
しかし、企業の規模が大きくなるほど、経営者の目が細部にまで行き届かなくなります。部署によって待遇の差が生じ、「ブラック部署」と「ホワイト部署」にわかれてしまうこともあります。
ただし、管理職をつとめた人が、いわゆる管理監督者に該当する場合であれば、残業代を支払わなくても違法とはならないことには留意しておきましょう。もっとも管理監督者と認められるには、「労働時間を拘束されず自由に出退勤できる」「経営者と一体とみなせるほど、重要な職務を任されている」など、厳格な条件をすべて満たす必要があります。そのため実際には、一般的な企業において、管理職の肩書きを持つ立場であるにもかかわらず管理監督者として認定されるような事例はきわめて少数だといわれています。
そうだとすれば、「もうこれ以上、名ばかり管理職をつとめることはできません!」と訴えてきた管理職がいたならば、会社としてはその退職理由を真摯に受け止める必要があります。具体的には、退職を申し出た管理職の所属する部署の労働実態を調査し、残業時間、残業代、休日出勤の現状や過剰な責任を一人の管理職に押し付けていないかなどについて、あらいざらいチェックします。
もし違法行為や見逃せないほどひどい待遇が認められたら、法務部や取締役などとも連携して、速やかに改善策を命じることになります。その上で、退職を申し出た管理職に「君の問題提起のおかげで、わが社が抱えている大きな問題をひとつ解決することができた。感謝する。これからは君の不満もなくなっていくだろうから、ぜひわが社に残って仕事を続けてほしい」と慰留をはかるのです。
名ばかり管理職の生んだ違法な勤務実態が解消されれば、当人にとっても退職を申し出る理由もなくなりますから、慰留の成功率も格段に高まります。

退職理由が「職場の人間関係」である場合

【引用元:写真AC】
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退職を希望する理由が、職場の人間関係だった場合、会社はどのように慰留をはかればよいのでしょうか。たとえば、職場の部下との間に心理的軋轢が生じていて、大きなストレスになっているような場合が典型です。
このような場合、会社側としては言葉でいくら慰留をはかっても、当人の意思を変えることはむずかしいでしょう。人間関係のストレスは賃金ではカバーできないからです。
過剰労働は、心ある経営者が一喝すれば一気に改善することもあるでしょう。しかし、人間関係は生身の人間同士の問題ですので、上役がいくら動いても「私は、あの部下と一緒に仕事をしたくありません」「あんな人間が部下だから、いつまでたってもうちの部署は成果が上がらないのです」などと一蹴されることもあるでしょう。
このような場合、会社がまず考えるべきは「配置換えによって引き止めが可能かをさぐる」ということです。互いに忌み嫌う者同士が同じ職場で仕事をしていたら、業務の効率も下がってしまいます。配置換えをしてくすぶった人間関係が解消できるのであれば、それはもっとも簡単な引き止め策であると共に、会社にとっても有益な解決策となります。
ただし、配置換えをすれば、当人の管理職としてのキャリアは中断する場合もあることに注意が必要です。前の部署とはまったく違う部署に配置換えを進めても、当人は難色を示すことでしょう。そうなれば、やはり退職の意思はなくなりません。
会社としては、できるかぎり、当人のキャリアを活かせるような部署に配置換えするように配慮してあげましょう。そうすれば、退職を申し出た当人も、会社に恩義を感じ、従前よりも強い意思で業務を遂行してくれるようになることも期待できます。

退職理由が「キャリアアップ」である場合

【引用元:写真AC】
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退職理由を問いただした結果、「実は以前から○○の仕事をするのが夢でした。そのステップアップに向けて、新しい会社で働きたいのです」などとキャリアアップの願望を告白された場合、会社はどのように引き止めればよいのでしょうか。
まず考えられるのが「当人が希望するキャリアに近い業務を与えることができないかをさぐる」ということです。規模の大きい企業の場合、業務のバリエーションは豊富です。たった一つの部署で仕事をしているだけでは想像もできないほど、多種多様な業務を展開している企業は多くあります。
そのような企業であれば、まず自社の業務のなかに、当人の希望するキャリアに類似する業務がないかを探し出し、あるのであれば「退職はひとまずやめて、まずはこの部署で仕事をしてみないか?きっと君の希望するキャリアに近い仕事ができるはずだよ」と交渉してみるのです。
また最近流行の「企業内ベンチャー」を活用するのも一つの方法でしょう。退職を申し出た当人の希望するキャリアに近い業務が社内にまだないのであれば、そのキャリアをかなえられるような新しい会社を企業内ベンチャーとして起業できないかを模索するのです。
もちろんベンチャーを起こすということは簡単ではありません。一人で動くわけにはいきませんので、ある程度の人員と予算、そして新しいデスクとパソコンを用意する必要があります。したがって、「企業内ベンチャーを起こすメリット、デメリット」を精査し、デメリットが大きいのであれば、慰留はあきらめることになるでしょう。
管理職が退職を申し出るというのは相当な理由が背景にあります。新入社員が五月病で仕事を放棄するのとはまったく異質な問題がそこに隠れていることも多く、時には会社の体質そのものに原因があることも。だとすれば、これはある意味、会社の業務改善のチャンスとみなすこともできます。「わが社にどんな問題があるのだろうか」と、謙虚な気持ちで職場環境の改善のために動いてみてはいかがでしょうか?

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