最近導入する会社も増えてきた「フレックスタイム制」。しかし、その名前ばかりが一人歩きし、把握しておくべきルールや法律を知らない人が多いのが現状です。この記事では、フレックスタイム制の意味や導入前に知っておくべきルール・法律等をご紹介します。
フレックスタイム制とは、「労使協定に基づく、始業及び就業の時刻をその労働者の自己判断にゆだねる労働時間制度」のことを指します。簡単に言えば「従業員自らが自分の働く時間帯を選べる制度」です。一般的な会社は「朝9時から1日8時間勤務」といったように就業時間が定められていますが、フレックスタイム制は最低限のルールや法律の中、自己判断でそれらを短くすることも長くすることもできます。メリットとしては、残業時間の圧縮や、個々のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能になるなどが挙げられるでしょう。
フレックスタイムを導入する際には、以下の6つの点を法律に基づき明確にしておく必要があります。1.フレックスタイム制を適用する社員の範囲2.フレックスタイム制の期間3.フレックスタイム制の期間における月の総労働時間4.基本となる1日の就業時間5.必ず出社していなければならない時間帯。コアタイム。(※任意)6.本人の判断で入出社できる時間帯。フレキシブルタイム。(※任意)。コアタイムとフレキシブルタイムに関しては、指定するしないは会社の判断に任されますが、どちらにせよハッキリと明文化しておきましょう。ただし、月の総労働時間の上限は法律で定められているため(例:1ヶ月が30日であれば171.4時間等)、それに準じたものを設定する必要があります。
フレックスタイム制を導入するにあたり、労働基準監督署への届け出を義務付けている法律などは存在しません。その分、契約書にはしっかりとその内容を具体的な数値や基準と共に明記しておきましょう。また、フレックスタイム制においては、残業代の計算も少し特殊になります。一般的な会社であれば「1日8時間」「週40時間」が残業代が発生するラインですが、フレックスタイム制は「月の総労働時間」を超えた場合のみ残業代が計算します。例えば、1日10時間働いたとしても、それだけで残業代が発生するわけではないのです。
このように、フレックスタイム制は会社によってその基準が違っており、その会社ごとで明確なルールを設けておく必要があります。導入後、従業員から不満の声が上がらぬように、しっかりと事前に説明をした上で契約を交わしましょう。