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部下を叱ることが苦手……そう思っている人が意識したい上手な叱り方

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部下を叱ることが苦手……そう思っている人が意識したい上手な叱り方

部下を叱ることが苦手……そう思っている人が意識したい上手な叱り方

「来月からいよいよ昇進だ!でも、はじめて部下を持つことになるので不安だなあ……。ほめるだけなら気楽だけど、もし部下が悪いことをしたら、きっちり叱らないといけない。でもパワハラになるのは怖いし……人を叱るって、どうすればいいの?」そんな不安にかられている方はいませんか?新人上司のあなたにこそ知っていただきたい「上手な叱り方」のコツをご紹介します。

「叱る」とはどういう行動か

【引用元:写真AC】
【引用元:写真AC】

上手な叱り方を明らかにするためには、まず「叱る」という行動の構造を解き明かす必要があります。ここでは、「怒る」と「叱る」を比較してみましょう。
子供がいたずらをしてしまった場面を思い浮かべてください。たとえば「自宅に遊びに来ていた友達のケンちゃんを自分の息子であるタロウが強くはたいて泣かせてしまった」そんな場面です。
このときあなたが親だったら、「タロウ、ダメでしょ!なんでそんなことするの!?」と大きな声を張り上げて怒りを表現しますよね。ここまでは「怒る」と「叱る」に大差はありません。両者の違いはこの次の行動に表れます。
「ねえ、ママがどうして怒ったか、わかる?」「タロウ、どうしてケンちゃんのこと、はたいちゃったの?」と子供に問いかけることで、「なぜ自分がママに怒られたのか?」を理解させるのです。
もっとも、ここまでは多くの親が実践していることかもしれませんね。
「だって、ケンちゃんがボクのおもちゃを返してくれなかったから……」
そんな言い訳がタロウくんから返ってきた場合、親であるあなたはどんなリアクションを実践していますか?「じゃあ、ケンちゃんのことをはたかないためには、どうすればよかったのかな?」と言葉をつなぐことができるでしょうか。
「だって、ケンちゃんがおもちゃを返してくれないから」というのが子供の言い分である以上、親としては、タロウくんだけでなくケンちゃんに対しても「ケンちゃん、どうしておもちゃを返さなかったのかなあ?」と問いかけてみることが大切です。
「他人の子供を問い詰めるなんて、とてもできないわ」と思うかもしれませんね。しかし、ここでケンちゃんに対して行っているのが「詰問」でないことは明らか。問題解決のために、当事者の一人であるケンちゃんに協力を求めているだけです。
要するに「叱る」という行動には、「間違いの原因をつきとめて、再発を防ぐためにはどうすればよいかを共に考える」というフォローアップも含まれているのです。

叱り方には「4つのプロセス」が必要

【引用元:写真AC】
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上記したのは親子の事例ですが、ビジネスシーンで上司と部下の間に起きる「叱る」場面でも通用する話です。
ポイントは「間違いを指摘し」、「怒りを表現し」、「原因をつきとめ」、「再発防止策をともに考える」。この4つのプロセスが「叱る」の基本構造です。
まずは「間違いを指摘する」です。「何を当たり前のことを」と思うかもしれませんが、意外にも、間違いを指摘しないまま怒鳴りつけているという場面は多いのです。
次が「怒りを表現する」です。ここでのポイントは、間違いを先に指摘したあとに怒りを表現するということ。間違いを先に指摘しなければいけない理由は、そうすることでいったん冷静になり、怒りの原因を客観視できるからです。
それに真っ先に怒りを表現してしまうと、頭の中が怒りの感情でいっぱいになってしまい、冷静に間違いを指摘することを結局は忘れてしまい、ただ怒りを示しただけで終わってしまうことも。「理由を示さない怒り」は、叱られた側にとってはただの不快なノイズでしかありません。
「原因をつきとめる」ときに大切なのは「傾聴」です。相手の話に正面から向き合い、その真意をもれなく聞き取る態度が必要です。
最後が「再発防止策をともに考える」です。部下の犯したミスの原因をつきとめたら、もう少しだけつきあってあげましょう。「どうすればよかったか、自分で考えろ!」などと言い放ってしまっては、ここまで守ってきた「上手な叱り方のプロセス」が台無しになってしまいます。

コーチングを活用して叱り方のスキルを向上させよう

【引用元:写真AC】
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上手な叱り方の実践のためにぜひ活用したいのが、コーチングの技術です。
コーチングにおける叱り方のポイントは、「問題解決のヒントはつねに問題を起こした当人のなかにある」ということです。問題を起こした部下を叱る場合、問題を引き起こした理由も、その解決策も、部下本人のなかにあるわけです。
そのヒントを見逃さないために、コーチングがもっとも重視する技術が「傾聴」です。これは叱り方の4つのプロセスでも述べたように、問題の原因をつきとめる際には欠かせない技術です。
傾聴のコーチング技術にはさまざまな方法があります。相手の話にあわせて適度なタイミングで「うなずき」や「あいづち」を示す、相手の話したことをオウム返し・要約・言い換えをするなどです。これらの技術を駆使することで、叱られている部下は、「上司は自分の話を熱心に聴いてくれている」と実感することができます。
また部下が話し下手である場合は、「それから?」「うん、わかるよ」などと話の継続をうながすような言葉を発することも重要です。
反対によくしゃべる部下の場合は、上司が頻繁に口をはさむと会話の流れが途切れてしまい、「話を無理やり制止されている感じがする。上司は私の話を聞きたくないのかな?」という印象を与えてしまうことも。このような場合は、あえて沈黙をはさみ、部下の話に静かに耳を傾けているという態度を示すことが効果的です。

「自分は人を叱れるほどの器か?」と自問してみよう

【引用元:写真AC】
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人を叱るというのは大変なことです。「上手な叱り方」が問われるということは、それだけ叱るという行動の難しさを表しています。
あなたが上司に叱られている場面を思い出してください。上司にガミガミ、ねちねちと叱責されているのがあなたです。「言いたいことはわかるけど……あんた、俺にそんなこといえるような人間か?」と、口には出さずとも、心のなかで舌打ちした経験はありませんか?
特に、叱られることに慣れていない人の場合、自分に非があることがわかっていても、同僚の見ているなかで非を指摘され、叱責されてしまうと、上司にいわれのない恨みを抱いてしまうことも。
実は、パワハラと呼ばれるケースのなかにはそういう事例が少なからずあるといわれています。上司が正しい理由で叱ったにもかかわらず、部下が逆恨みし、事実関係を過剰に脚色して告発する……そんなことが実際に起きているのです。
そのような不幸な事態を避けるためにも、「上手な叱り方だけでは足りないこともある」ということを覚えておきましょう。「この人になら叱られても文句は言えない」「この上司の言うことなら、ちょっとむかつくけど、納得できるよな」といったように、部下の上司に対する好意的な人物評価が介在することでパワハラになることを防いでいる、ということもあるのです。その好例が、松下幸之助と本田宗一郎です。
松下幸之助は、普段は笑顔とユーモアを欠かさない温厚な人柄でしたが、いざ部下を叱るときには命がけで叱ったといわれています。ミスを犯した部下を自宅に呼びつけ、何時間も叱責するということも珍しくありませんでした。幸之助氏の側近として働いた江口克彦氏(PHP研究所前社長)は、自分のミスが原因で幸之助氏に呼びつけられたとき、なんと延々3時間に渡って叱責されつづけた経験があるそうです。しかし江口氏は、そのことをうらむどころか、幸之助氏があまりにも一生懸命に叱ってくれる姿に感動したといいます。
また本田宗一郎も部下をきつく叱ることで有名でした。オートバイや自動車はいったん事故を起こせば人命を簡単に奪う凶器と化す。だからこそホンダの製品には万に一つの欠陥もあってはいけないと考えた宗一郎氏は、部下が何か間違いを犯したときは烈火のごとく怒りました。本田宗一郎のもとでデザイナーとして働いた岩倉信弥氏(多摩美術大学名誉教授)は、宗一郎氏に「君は人殺しか!」と怒鳴られたそうです。
江口氏や岩倉氏にとって、松下幸之助や本田宗一郎という存在はあまりにも「偉大な上司」です。実の親以上に強固な信頼を抱く上司だからこそ、尋常でない叱責を受けても耐えられたのではないでしょうか。
しかし、あなたが「ただの上司」だったとしたらどうでしょうか?部下を何時間も叱責したり、「人殺し!」と怒鳴りつけたりすれば、たちまち「パワハラだ!」と反旗をひるがえされ、どちらにとっても不幸な結果となるのは目に見えています。
「上手な叱り方」と一口に言うのは簡単ですが、実践するのは大変なことです。親子でさえ難しいというのに、ビジネスの現場で上司が叱る部下は、独立した人格と尊厳を持った社会人です。叱り方を間違えれば、それはただちに相手に対する侮辱になり、パワハラとなってしまうこともあります。
しかし、だからといって誰もが松下幸之助や本田宗一郎になれるわけではありません。やはり「上手に叱る」ためには、それなりの知識と経験が必要なのです。あなたが部下を持つ上司であるなら、今回ご紹介したようなコツを参考にしながら、「上手な叱り方」の経験をたくさん積み重ねていってください。

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