企業の固定費削減を進めるには、「何を根拠に削減するか」という判断軸と、「どの費目から手をつけるか」という優先順位の両方が欠かせません。
今回は、固定費削減の判断軸となる損益分岐点の考え方から、具体的な削減方法、見落としがちなリスクまで解説します。運営コストの見直しをお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
固定費削減の判断軸は「損益分岐点」
固定費削減が有効かどうかは、その会社の損益分岐点の状況によって決まります。損益分岐点とは、売上高と費用がちょうど等しくなる境目を指し、「固定費÷限界利益率」で求められます。
適切な固定費削減は損益分岐点を引き下げ、不況に強い経営体質を築きますが、闇雲なコストカットは企業の成長に必要な要素までそぎ落としてしまう危険があります。
例えば固定費300万円・変動費率60%の場合、損益分岐点売上高は750万円(=300万円÷0.4)です。月商800万円なら損益分岐点比率は93.75%となり、売上が少し落ちるだけで赤字に転落する危険な状態といえます。固定費削減に踏み切る前に、損益分岐点を計算して自社の経営状態を数値で把握し、「そぎ落とすべきか、育てるべきか」を見極めるようにしましょう。
▼損益分岐点について詳しくは
「損益分岐点を算出するには固定費と変動費の分類が重要|損益分岐点を下げる方法も紹介」
企業の固定費を削減する方法
以下では、企業が実践できる固定費削減の具体的な方法を5つピックアップして紹介します。企業の経営状況を踏まえつつ、実践してみてください。
光熱費の契約・設備を見直す
毎月発生する光熱費は、一見小さく見える支出も、積み重なると大きなコストになります。光熱費の削減方法として代表的なのは、「電力会社の切り替え」です。2016年の電力自由化により、多くの企業が電力市場に新規参入しました。これにより、従来の大手電力会社だけでなく、コストパフォーマンスに優れた選択肢が増えています。
新しい電力会社は、大手と同品質の電力供給を維持しながらも、料金を抑えているケースが多いため、契約先を見直すことで電力コストを大幅に削減できます。見積もりを比較し、自社の電力使用量に合ったプランを選ぶと良いでしょう。
また、従来の蛍光灯や白熱電球をLED照明に変更したり、古い電化製品をエネルギー効率の高い最新型に買い替えたりするのも固定費を削減する方法として有効です。初期投資は必要ですが、長期的には大きなコスト削減につながります。
社用車の保有台数や運用コストを見直す
社用車を保有・運用する際には、購入費用だけでなく、ガソリン代、駐車場代、固定資産税、自動車税、メンテナンス費用、車検代など、多くのコストが発生します。これらは固定費として毎年企業の負担となるため、車両費を見直すことで大幅な固定費削減が期待できます。
車両費を見直す方法としては、「カーシェアリングサービスの活用」が有効です。特に社用車を頻繁に使わない場合は、カーシェアリングサービスを利用することでコストを削減できます。他にも、ガソリン車をハイブリッドカーや電気自動車(EV)に置き換え、燃料費やメンテナンスコストを削減するのも手です。
広告宣伝費を精査する
広告宣伝費は、商品やサービスの認知向上や販売促進に欠かせない経費のひとつです。とはいえ、効果が不明確なまま出稿を続けると、固定費の無駄遣いにつながるおそれがあります。広告宣伝費をきちんと見直すことで、コストを削減しながら売上の最大化を図ることが可能です。
具体的には、効果が薄い媒体への支出カット、広告の頻度・タイミングの調整、効果測定が容易なインターネット広告の活用などが有効です。
ペーパーレス化で周辺コストを見直す
ペーパーレス化は、紙を使った業務をデジタル化し、固定費の削減と業務効率化を同時に実現する取り組みです。特に、印刷や保管、郵送にかかるコストを削減できるため、多くの企業にとって重要な施策といえます。
ペーパーレス化によって削減できるコストには、以下があげられます。
・印刷関連費用:印刷用紙やインクカートリッジ、プリンター本体の購入や保守費用など、紙の使用に伴うランニングコストを削減
・保管スペースの賃料:膨大な紙の書類を保管するためのスペースが不要になり、オフィス賃料や倉庫代が軽減
・郵送費:紙の請求書や契約書を送るための封筒、切手代、郵送作業にかかる人件費も削減可能
ペーパーレス化の具体的な方法としては、「紙でやり取りしている業務を専用システムに移行し、紙を使わない環境を構築する」「会議や打ち合わせで使用する資料を、印刷ではなくデータ共有する形に変更する」などがあげられます。ただし、システム導入など初期コストが発生する点には注意が必要です。
オフィススペースと賃料を見直す
オフィス賃料は固定費の中でも特に大きな割合を占める項目であり、見直し効果の大きな領域です。
まずはオフィスの稼働率や利用状況を調査し、縮小やレイアウト再設計が必要かどうかの判断材料を揃えましょう。会議室・執務室の稼働率が50%未満の状態が続いているなら、適正面積の見直しを検討する余地があります。
賃料の値下げ交渉を行う際は、「相場+実態データ」を根拠にロジカルに進めることが重要です。交渉時には以下の情報を用意しておくと良いでしょう。
・同一エリアの坪単価相場(3〜5件)
・現在のオフィス利用実態(稼働率・レイアウトなど)
・将来的な利用計画(人数・面積変化など)
なお、賃料交渉のための情報収集は、契約更新の通知が来る6か月前から動き出すと有利です。
早い段階から動きたい、坪単価相場や利用実態の情報収集を専門家に依頼したいという企業様はぜひMACオフィスへご相談ください。オフィスの現況分析からコスト効率の良いオフィス戦略のご提案、賃料・契約交渉の材料のご提示まで多角的にサポートいたします。
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見落としがちな固定費削減の落とし穴

固定費削減には、利益率の向上やキャッシュフローの改善などのメリットがある一方で、対象や方法が適切でなければ思わぬトラブルが発生する場合もあります。
無理な固定費削減によるリスクとして、まずあげられるのがサービス品質の低下です。必要なスタッフや設備を削減すると業務が回らなくなり、最終的には企業の評判や売上に悪影響を及ぼすおそれがあります。削減可能な部分と削減すべきでない部分を見極めることが大切です。
次に福利厚生のカットやオフィス縮小など、直接的に従業員に影響する措置を取る場合は、従業員満足度が低下する可能性があります。生産性の低下や離職の増加にもつながりかねません。事前に変更の理由と目的を丁寧に説明し、理解と協力を得ることが不可欠です。
固定費削減は会社全体で目標を共有しながら、コストカット対象や効果を慎重に検討し、長期的な視点で進めていきましょう。
固定費を大きく圧縮するならオフィスコストの見直しから!
固定費削減の文脈では人件費削減や業務効率化が注目されがちですが、それだけでは根本的な解決に至らないケースもあります。
そこで見直しを検討していただきたいのがオフィスコストです。適正なスペース設計と賃料の見直しにより、固定費を大きく圧縮できる可能性があります。
ただし、単に面積を縮小するだけの対応は、従業員の生産性低下や成長阻害につながるリスクも伴います。そのため、財務的な観点だけでなく、働き方や職場環境まで見据えた統合的な設計が求められます。
MACオフィスでは、オフィス戦略のコンサルティングサービス「WEO®マネジメント」を通じて、現状の職場環境や働き方を分析し、企業にとっての「適正なオフィス面積(坪数)」を算出・検証しています。
賃貸借契約の更新時に適正面積の検討を支援した事例では、約1,000坪から約750坪への縮小によりコスト削減を実現しました。あわせてラウンジの導入や会議室運用の見直しも行い、コストを抑えながらもコミュニケーションの活性化と利用効率の改善を同時に達成しています。
▼固定費削減のご支援事例について詳細はこちら
「ご成約事例 – 部分返却・レイアウト変更・残留」
自社のオフィス面積が適正かどうか不安を感じている方は、客観的なデータに基づいた専門的な分析を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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