
社内コミュニケーションを活発化させることは、社員のモチベーション向上や業務の効率化、イノベーションの促進につながります。しかし、どのようにして社内のコミュニケーションを推進すれば良いのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、社内のコミュニケーションを改善するメリットを説明しつつ、具体的な改善方法を6つピックアップして紹介します。
ここでは、社内コミュニケーションを改善するメリットを6つ紹介します。
厚生労働省が公表している「令和5年雇用動向調査結果の概況」によると、令和5年1年間の転職入職者が前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」ことがあげられています。特に女性では13.0%、男性でも9.1%が、職場の人間関係が原因で転職しています。
職場の人間関係が悪化する原因はいくつか考えられますが、そのひとつが「社内のコミュニケーション不足」です。社内のコミュニケーションが足りていないと、社員が抱える悩みに誰も気づけない場合があります。また、「話しにくいオフィス=働きにくい環境」と感じる社員もいるでしょう。
社内コミュニケーションを活性化させることで、上司・部下、同期との信頼が構築されます。安心して働ける環境は、社員のモチベーションや満足度を向上させ、結果として定着率の向上につながります。さらに、優秀な人材を確保し続けることが可能になり、組織全体のパフォーマンスもアップします。
出典:厚生労働省「-令和5年雇用動向調査結果の概況-」
経営者や管理職、上司と部下の関係が良好でない場合、社員は孤立感を覚えたり、自分の意見が尊重されないと感じたりすることで満足度が低下する傾向にあります。そのため、社員が安心して意見や考えを共有できる環境を整えることが重要です。
また、活発な議論がなされる職場では、社員は自分の意見やアイデアを発言しやすくなり、担当業務へのモチベーションや満足度の向上につながります。
従業員満足度の向上方法については、こちらの記事も参考にしてください。
「従業員満足度(ES)の向上方法とは?注目される背景や期待できる効果も解説」
イノベーションを生み出すためには、自由に意見を交換できる環境が必要です。コミュニケーションが不十分な職場では、社員が上司や同僚に対して過度に気を使い、自分の考えや意見を発言しにくくなります。このような状況では、有効な議論が行われず、新たな発想や視点が生まれる機会も失われるでしょう。
一方で、社内コミュニケーションが活性化された環境では、社員は心理的安全性を感じやすくなり、意見を自由に発言できる風土が醸成されます。このような環境では、異なる視点や経験をもつ人々が積極的にアイデアを共有し、相互に刺激を与え合うことで、新しい発想や革新的なアイデアが生まれやすくなります。
社内コミュニケーションが活発でない場合、社員同士の意思疎通に時間がかかり、必要な情報を得るまでに多くの手間や労力が発生します。また、心理的な抵抗感から相談や確認をためらうケースも多く、結果として「コミュニケーションコスト」が増大します。
コミュニケーションコストが増大すれば、「業務の進行が遅れる」あるいは「ミスや認識のズレが生じやすくなる」といった事態に陥りかねません。
一方で、社内コミュニケーションを改善し、共通認識をもてる環境を整えられれば、コミュニケーションコストを削減可能です。社員同士が情報を共有しやすくなることで、確認作業の時間短縮や手戻りの防止が可能となり、業務プロセス全体の効率化が図れます。
また、意見やフィードバックがスムーズに行き交うことで、業務手順や進め方に関する理解が統一され、標準化が促進されます。
社内でのコミュニケーションが活性化すると、上下や横の連携が強化され、部門やチームを超えた協力体制が構築されます。協力体制が構築されることで、顧客からの要望や問い合わせに対して迅速かつ的確に対応できるようになります。
例えば、顧客からの問い合わせ内容が複数の部署にまたがる場合でも、社内コミュニケーションが円滑であれば、必要な情報を素早く共有できるため、対応の遅れや情報の伝達ミスを防ぐことが可能です。
結果、顧客に対してスムーズなサービスを提供できるようになり、信頼関係の強化や顧客満足度の向上につながります。
社内コミュニケーションには、経営層から新入社員まで、組織のあらゆる階層における対話や情報共有が含まれます。社内コミュニケーションが活発になる環境を構築すれば、企業理念やビジョンに関する情報発信の機会も増やすことが可能です。
例えば、社内会議や研修、社内SNSなどを通じて企業理念を繰り返し伝えることで、社員はそれらを日常的に意識するようになります。また、社員が企業の戦略に対して意見を交わせる場を設けることで、企業の価値観や目指す方向性を深く理解し、共感を抱くようになるでしょう。
企業理念やビジョンを理解することは、社員自らの業務が企業全体の目的や成長にどう結びつくかを認識するためにも重要です。この認識は、社員の主体性や責任感を高めるとともに、積極的に行動する原動力にもなります。
社員それぞれの主体性と責任感、原動力を向上させることで、組織全体の結束力が強まり、企業の利益アップにつながります。
ここでは、社内コミュニケーションを改善する方法を6つ紹介します。
シャッフル形式のランチ会とは、普段接点をもたない社員同士がランチをともにする制度のことです。実施することで、他部署への理解が深まったり、同僚の新たな一面を知れたりするため、社員同士の関係性を強化する機会になります。
また、異動や配置転換があった際にも、すでに面識のある社員がいることで、新しい環境に溶け込みやすくなります。業務の引き継ぎや教育もスムーズに進みやすくなるでしょう。
さらに、シャッフルランチは休憩時間内に実施されるため、飲み会のようにプライベートの時間を削る必要がなく、お酒を飲めない人や飲み会が苦手な人でも気軽に参加しやすい点も特徴です。
1on1ミーティングは、上司と部下が1対1で行う対話の場であり、上司は部下の現状や業務状況を細かく把握できます。一方で、部下は上司から直接仕事のアドバイスを受けられるため、業務に関する不安や疑問を解消しやすくなります。
1on1ミーティングは評価を目的とした人事面談とは異なり、部下の成長を支援し、悩みを解決するために設けられるため、日常業務では話しづらい内容についても気軽に相談できるのが特徴です。
また、上司が自身の経験談やアドバイスを共有することで、部下は新たな視点を得られたり、キャリアの方向性について考えるヒントを得られたりします。
1on1ミーティングのような深いコミュニケーションを定期的に実施することで、信頼関係の構築や心理的安全性の向上が期待でき、結果として職場全体のコミュニケーションの質が向上します。
社内イベントを開催することで、部署や役職を超えた交流の機会が生まれ、普段の業務では接点の少ない社員同士でも自然にコミュニケーションを取ることが可能です。社内イベントを通じて、社員同士の距離感が縮まり、協力関係やチームワークが強化されるだけでなく、職場全体に一体感が生まれます。
また、こうしたイベントはリフレッシュの場としても有効で、日々の業務から離れてリラックスできるため、社員のモチベーション向上につながる点もメリットです。
企業によっては、ゲーム大会やお花見、ビアガーデンなど、季節や文化に合わせたイベントを定期的に開催している例もあります。社内イベントは、社員の趣味や興味に合わせた内容を企画することで参加率が高まり、盛り上がります。
メンター制度は、上司とは別の先輩社員が若手社員をサポートする制度です。年齢や立場が近い先輩をメンターにすることで、若手社員が何でも気軽に相談できる環境を整えることを目的としています。上司には相談しづらい悩みや業務に関する細かい疑問も、メンターであればリラックスした雰囲気の中で話しやすく、心理的な負担を軽減できます。
さらに、メンター制度の導入によって、若手社員から先輩社員へ積極的にコミュニケーションを取るきっかけを作れる点も魅力です。メンター側にとっても、後輩を指導することでリーダーシップやコミュニケーションスキルを向上させる機会となり、組織全体の成長につながります。
社内SNSやチャットツールは、メールと比較して気軽に投稿できます。社員同士が業務上の課題や困りごとをその場で共有しやすくなり、問題解決のスピードが向上します。また、リアルタイムでの情報共有が可能になることで、必要な情報を素早く取得できるため、業務の効率化も期待できます。
サンクスカードとは、社員同士が感謝の気持ちを伝え合う制度のことです。感謝の気持ちをカードに記して伝えることで、社員間の信頼関係を強化します。サンクスカードの大きな特徴は、企業側が評価するのではなく、社員同士が直接評価し合う点です。
サンクスカードを通じて、縦や横の関係を問わず自然なコミュニケーションが生まれやすくなり、結果として働きやすい環境の構築につながります。
また、サンクスカードによってお互いを褒め合う文化を醸成することで、社員の自己肯定感が高まり、仕事に対するモチベーションがアップする点も魅力です。
従来のオフィスレイアウトは、組織運営を円滑に進めるために部署ごとに席を固めたり、役職によって配置を分けたりする形式が一般的でした。しかし現在では、部署や役職の枠を越えて気軽にコミュニケーションを取れるオフィス空間が重視されるようになっています。
このようなオープンな環境は、物理的な距離を縮めるだけでなく、心理的な障壁を取り除き、社員同士が自然に交流しやすい雰囲気をつくるためにも欠かせません。
オフィス環境を整備して社内コミュニケーションを改善したい場合は、MACオフィスの「WEOマネジメント」をご検討ください。WEOマネジメントは、不動産仲介交渉と工事区分交渉の知見を活かし、最適なオフィス環境の実現をサポートするサービスです。
実際、オフィス移転によって社内コミュニケーションが改善された例もあります。ここでは、MACオフィスの施工実績の中から2つの事例を紹介しましょう。
ソフトウェアやハードウェアの設計開発を提供するソーバル株式会社様から、「コロナ禍でリモートワークが中心となり、閑散としたオフィスを再活用できないか」とご相談を受け、ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング=仕事の内容や気分に合わせて働く場所や時間を選択できる働き方)を取り入れたレイアウト変更を実施しました。
具体的には、固定席を集約し、回遊性の高い研修エリアや多様なワークスペースを設置しました。また、カフェ風のリフレッシュスペースやインテリアグリーンを配置し、明るく開放的なデザインでエンジニアの「ワクワク」を引き出す工夫を施しました。限られた予算内で既存家具を活用しつつ、出社したくなるオフィスづくりを実現しました。
>>MACオフィスの移転事例(ソーバル株式会社様)の詳細はこちら
海運事業を展開する商船三井テクノトレード株式会社様では、オフィス移転を機に、社員間のコミュニケーション活性化と働き方改革を目指し、部署単位でのフリーアドレス制を導入しました。デスク配置や動線設計に工夫を凝らし、窓際や中央部にコミュニケーションスペースを配置しました。
役員席を設けず社員と同じ空間で働くことで交流を促進したほか、機密性の高い業務を行えるように集中ブースも設置しました。さらに、書類や備品を整理して省スペース化を図るとともに、明るく開放的な来客エリアでブランディング向上にもつながりました。
>>MACオフィスの移転事例(商船三井テクノトレード株式会社様)の詳細はこちら
また、そもそも今のオフィス環境が適切か知りたい方は、下記の無料オフィス診断もお試しください。
社内のコミュニケーションを改善することは、定着率の向上や業務効率化など、多くのメリットをもたらします。改善策はいくつかあり、シャッフル形式のランチ会や1on1ミーティング、社内イベントなどが有効です。オフィス環境を改革することでコミュニケーション活性化を図るという手法もあります。実施しやすいものから取り組んでみてください。