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コミュニケーション能力向上にも役立つ「ロジカルシンキング」を身につける

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コミュニケーション能力向上にも役立つ「ロジカルシンキング」を身につける

コミュニケーション能力向上にも役立つ「ロジカルシンキング」を身につける

ロジック、ロジカル、論理。これらの言葉にはなんだか堅苦しい学問のにおいが漂ってくるかもしれません。しかし、ビジネスの世界では「ロジカルシンキング」といえば欠かすことのできないスキルの一つ。特に経営コンサルティング業界ではロジカルシンキングが共通言語として浸透しています。では、ビジネスの現場ではどのようにロジカルシンキングを実践すれば良いのでしょうか?ロジカルシンキングの要諦を具体例とともに考えてみましょう。

アメリカ生まれのロジカルシンキング

【引用元:pixabay】
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ロジカルシンキングは、元々はアメリカの経営コンサルタントたちが駆使する特殊なツールに過ぎませんでした。しかしビジネスのグローバル化が当たり前になると、共通言語の一種としてのロジカルシンキングが世界中で一躍脚光を浴びるようになりました。
日本企業の現場にロジカルシンキングが浸透し始めたのは90年代後半から2000年にかけてです。95年に出版された『考える技術・書く技術』(バーバラ・ミント著)を皮切りに、『問題解決プロフェッショナル〜思考と技術』(齋藤嘉則著)や『ロジカル・シンキング』(照屋華子・岡田恵子著)といったロジカルシンキングの名著が出版され、第一線で活躍するたくさんのビジネスマンたちがむさぼるように読みあさりました。
それまでのロジカルシンキングといえば、アメリカのビジネススクールに留学したごく一部のエリートだけが実践する思考法でした。しかし上記のような一般の読者に向けた解説書が世に出るにしたがい、ロジカルシンキングに対する堅苦しいイメージが徐々に薄れていきます。いまでは、経営戦略の策定・実践に関わるグループリーダーや管理職にとって、ロジカルシンキングを使いこなせることは重要な素養の一つです。

ロジカルシンキングの基礎をなす「演繹と帰納」

【引用元:pixabay】
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ロジカルシンキングのベースには「論理」があります。ただ、ビジネスで用いられるロジカルシンキングでは、純粋な論理学の考え方は表に出てきません。たとえば、演繹法、帰納法といった考え方です。これらはロジカルシンキングに固有の概念ではなく、物事を論理的に考える場合にはほとんど無意識に行われる思考方法です。ビジネスで用いられるロジカルシンキングが建物の骨組みだとすれば、演繹法や帰納法は土台です。すべてのロジカルシンキングの基礎にあたる部分ですので、簡単におさらいしておきましょう。
演繹法は、ある大前提を設定し、そこに具体的な事例(小前提)を当てはめてひとつの結論を導く思考方法です。たとえば、「人間は必ず死ぬ」という大前提があります。そこに「Aさんは人間である」という具体例を当てはめれば、「よってAさんは必ず死ぬ」という結論が導かれます。人間がおよそ論理的と思われるなんらかの推論を行う際は、必ずといってよいほどこの演繹法を使うことになります。
次に帰納法は、演繹法とは逆のベクトルを進んでいく思考方法です。複数の具体例(あるいは条件)から命題や結論を導き出します。
たとえば、ある企業が家庭用パン焼き器の市場に新規参入するかどうかを判断するケースを想定しましょう。
「パン焼き器市場はパンブームの影響もあって漸増傾向にある」
「特に米粉パンは健康志向の家庭の増加と比例して消費量が急増している」
「従来のパン焼き器は高価であったため市場が小規模だった。また米粉の入手ルートも限られていたため、米粉パンが焼ける機能をつけても強みにならなかった」
「しかし技術革新のおかげで安価に製品を供給できるようになった。また米粉の流通量が増大し、家庭でも手軽に米粉を入手できるようにもなった」
以上のような4つの具体例を総合すると、「パン焼き器、特に米粉パンも焼ける高機能なパン焼き器のニーズが増えることが予想される。よって家庭用パン焼き器の市場に新規参入するべきだ」という一つの結論を見出すことができます。演繹法のように論理明快な答えが出せないのが帰納法の特徴です。微妙な判断が求められるビジネスの現場では、前提となる具体例や条件が多岐に渡りますから、少ない命題からすんなり結論を導き出す演繹法よりも、多くの具体例から結論を導き出す帰納法が多用されることになります。

ロジカルシンキングを構成する2つの枠組み

【引用元:pixabay】
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演繹法や帰納法を使うときは、いちいち「帰納法に基づいて考えれば……」などと意識したりコメントしたりすることはありません。ビジネスの現場にかぎらず、私たちが普段から実践しているごくごくありふれたシンプルな思考方法だからです。
しかし、ビジネスにおいて「ロジカルシンキング」と称される思考方法は、より複雑な形態をとります。そのため、議論や説明の場面で、いきなり断りなくロジカルシンキングを振りかざすと、意思疎通が空回りしてしまうおそれがあるので注意が必要です。
ビジネスで駆使されるロジカルシンキングは様々なバリエーションを有していますが、もっともベーシックな思考方法は次の4つです。
(1)ピラミッドストラクチャー
(2)ロジックツリー
(3)MECE
(4)So What / Why So
これら4つの思考法は、「思考の枠組み」と「思考のポイント」に大きく分類できます。(1)(2)が「思考の枠組み」、(3)(4)が「思考のポイント」です。
思考の枠組みのうち、もっとも重要なのがピラミッドストラクチャーです。これはアメリカの経営コンサルタントグループとして世界的に有名なマッキンゼー社のコンサルタントが多用する思考方法です。
たとえば、「家庭用パン焼き器市場に新規参入する」という結論があるとします。この結論はたくさんの理由付けに支えられています。市場の状態(消費は増加・減少どちらの傾向か等)、競合他社の状態(すでに他者が市場を独占しているか等)、自社の状態(技術的な課題の有無等)など、複数の条件を個別にクリアした果てに、「新規参入する」という結論に到達するわけです。
この議論の過程をすべて構造化すれば、結論を頂点に配置したピラミッド構造が完成するはずです。逆に考えると、ピラミッド構造にならない状態で結論を導いてしまうということは、議論のどこかが足りないのではないか、根拠の薄弱な部分があるのではないか?という推論が成り立ちます。
ロジックツリーもピラミッドストラクチャーと同様、結論に至る過程を構造化する仕組みですが、ピラミッドストラクチャーが「結論を支える論点を網羅すること」に大きな目的があるのに対して、ロジックツリーはその名のとおり、最終結論にいたるまでのすべてのQ&Aを数珠つなぎにし、最初のクエスチョンから最後のアンサーまでが因果関係でつながっているかを検証するための道具だといえます。

精緻なロジカルシンキングに欠かせない2つのポイント

【引用元:pixabay】
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以上の思考の枠組みに対して、(3)MECE、(4)So What / Why So、の2つは「思考のポイント」に関する概念だといえます。
(3)MECE(ミーシー)とは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取った略称であり、一般に「漏れなく、だぶりなく」との意味に解釈されています。ピラミッドストラクチャーやロジックツリー、あるいはそれ以外の様々なフレームワークを用いる場合、論点の取捨選択は慎重に行う必要があります。ビジネスにまつわる決断はわずかなミスで命取りになる場合もあるからです。「思考の枠組みには過不足なく論点を盛り込め!」という警鐘として、このMECEが用いられるのです。
(4)So What / Why Soは、一つひとつの問題点を吟味する際、「だから何?」「なぜそうなるの?」と自分や相手に問いかけるためのフレーズです。
たとえば、「Why So」の使い方を見てみましょう。家庭用パン焼き器市場に新規参入するという結論に至るまでには、「自社と競合するA社がまだ参入していない」といったいくつかの条件をつぶしていく必要があります。しかし競合するA社が家庭用パン焼き器を開発・販売していないからといって、近い将来A社が新規参入してこないとは断言できません。A社の既存製品に使われている技術を鑑みれば、その技術を応用することで革新的な家庭用パン焼き器を開発する可能性もある……そういう可能性は残されているわけです。「A社は現段階では新規参入していません」という結論を出したとしても、「なぜそんなことがいえるのか。将来の可能性を考えたのか?」という意味で「Why So」という問いかけが重要になります。
以上の2つの思考のポイントを駆使することで、誤りの少ない精緻なロジカルシンキングが可能となります。
ビジネスマン必須の思考ルール、ロジカルシンキング。基礎概念である演繹法や帰納法の使い方は単純です。しかし即戦力として現場で求められるピラミッドストラクチャーやMECEなどは、使いこなすのに経験が必要です。ロジカルシンキングは、自分だけでなく、問いかける相手の脳内にも働きかける優れた武器となります。ロジックに裏付けられたプレゼンテーションや議論によって、商談の説得力を底上げしましょう!

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